東京にいた頃は漠然と明らかな差があるんだろうと想像していました。

ところが昨年やってみて、サギや野生のカモが慣行農法の田んぼに住み着いていて僕の田んぼにはきませんでした。

これを見て疑問に思い師匠と自分の田を観察しています。

■ 虫

-2℃でもゴソゴソしていた蜘蛛、恐らく「キバラコモリグモ」という種類だと思いますが、慣行農法の田より無農薬の田の方が2~3倍くらい多いと感じます。

-2℃でも動くことができるのが驚きではありましたが。

まだ霜が降りる日もあり他の虫は見かけないのですが、今は何を食べて生きているのでしょうか?

■ 雑草

残念なことに明らかな差が出ています。

見てのとおり芝生のようなものが全体的に生えてきました。

溝のようなものは田面を乾かすために掘ってある明渠排水路です。

乾かす理由は還元状態(土中に酸素がない状態)から酸化状態にしたいことと、稲わら等の有機物の分解促進、作業性の為です。

こちらが慣行農法の田ですが、田面には全く雑草が生えていません。

無農薬栽培では、雑草の種や根が生き残り増え続ける、耕起し甚水状態にすればこれらはなくなりますが、今度はその環境が好きな雑草が増え続ける、とてもネガティブなことです。

■ 水はけ

他の田んぼより僕の田んぼはとても水はけがよいです。

これはどうしてなのか分かりません。

良いことなのでラッキーですが、論文などで見かけたことがなかったので理由を知りたいと思っています。

■ 環境

会社でやっている水の研究から「河川の汚染原因は水田」「水道水から微量の農薬検出」と勉強しました。

水田をやる側になりましたが、これは事実だろうと思います。

「その水をくみ上げて米を作ったり水道水として利用している人が下流にいるんですが。。。」と、非難ではなく純粋に引いてしまう事があります。

■ まとめ

田んぼ一枚見ただけでは大差ありません。

虫も鳥も僕よりタフです。

恐らく取れたお米もそんなに変わらないと思います。

無農薬か慣行農法かは意味がなく、美味しいのか、若しくは安いのか、実際に有機農産物を食べている人は1%程度です。

一番つらいのは川の生き物かもしれません。

数十年と蓄積していくことについては国が問題視していて有機農業推進法という形で対策を進めようとしています。

現場では農家の年齢や有機農産物の売れ行きを考えると全く現実味がありません。

サッカー場の芝生を70歳の人が手でむしり取ることなんて不可能です。

以下、有機農業推進法の転載です。

有機農業の推進に関する法律(平成 18年法律第 112号)

(目的)
第一条
この法律は、有機農業の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、有機農業の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、有機農業の推進に関する施策を総合的に講じ、もって有機農業の発展を図ることを目的とする。

(定義)
第二条
この法律において「有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。

(基本理念)
第三条
有機農業の推進は、農業の持続的な発展及び環境と調和のとれた農業生産の確保が重要であり、有機農業が農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。)を大きく増進し、かつ、農業生産に由来する環境への負荷を低減するものであることにかんがみ、農業者が容易にこれに従事することができるようにすることを旨として、行われなければならない。

2 有機農業の推進は、消費者の食料に対する需要が高度化し、かつ、多様化する中で、消費者の安全かつ良質な農産物に対する需要が増大していることを踏まえ、有機農業がこのような需要に対応した農産物の供給に資するものであることにかんがみ、農業者その他の関係者が積極的に有機農業により生産される農産物の生産、流通又は販売に取り組むことができるようにするとともに、消費者が容易に有機農業により生産される農産物を入手できるようにすることを旨として、行われなければならない。

3 有機農業の推進は、消費者の有機農業及び有機農業により生産される農産物に対する理解の増進が重要であることにかんがみ、有機農業を行う農業者(以下「有機農業者」という。)その他の関係者と消費者との連携の促進を図りながら行われなければならない。

4 有機農業の推進は、農業者その他の関係者の自主性を尊重しつつ、行われなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条
国及び地方公共団体は、前条に定める基本理念にのっとり、有機農業の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 国及び地方公共団体は、農業者その他の関係者及び消費者の協力を得つつ有機農業を推進するものとする。
 
(法制上の措置等)
第五条
政府は、有機農業の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
 
(基本方針)
第六条
農林水産大臣は、有機農業の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。) を定めるものとする。

2 基本方針においては、次の事項を定めるものとする。
一 有機農業の推進に関する基本的な事項
二 有機農業の推進及び普及の目標に関する事項
三 有機農業の推進に関する施策に関する事項
四 その他有機農業の推進に関し必要な事項

3 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議するとともに、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。

4 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 
(推進計画)
第七条
都道府県は、基本方針に即し、有機農業の推進に関する施策についての計画(次項において「推進計画」という。)を定めるよう努めなければならない。

2 都道府県は、推進計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。
 
(有機農業者等の支援)
第八条
国及び地方公共団体は、有機農業者及び有機農業を行おうとする者の支援のために必要な施策を講ずるものとする。

(技術開発等の促進)
第九条
国及び地方公共団体は、有機農業に関する技術の研究開発及びその成果の普及を促進するため、研究施設の整備、研究開発の成果に関する普及指導及び情報の提供その他の必要な施 策を講ずるものとする。
 
(消費者の理解と関心の増進)
第十条
国及び地方公共団体は、有機農業に関する知識の普及及び啓発のための広報活動その他の消費者の有機農業に対する理解と関心を深めるために必要な施策を講ずるものとする。
 
(有機農業者と消費者の相互理解の増進)
第十一条
国及び地方公共団体は、有機農業者と消費者の相互理解の増進のため、有機農業者と消費者との交流の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
(調査の実施)
第十二条
国及び地方公共団体は、有機農業の推進に関し必要な調査を実施するものとする。
 
(国及び地方公共団体以外の者が行う有機農業の推進のための活動の支援)
第十三条
国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体以外の者が行う有機農業の推進のための活動の支援のために必要な施策を講ずるものとする。
 
(国の地方公共団体に対する援助)
第十四条
国は、地方公共団体が行う有機農業の推進に関する施策に関し、必要な指導、助言その他の援助をすることができる。
 
(有機農業者等の意見の反映)
第十五条
国及び地方公共団体は、有機農業の推進に関する施策の策定に当たっては、有機農業者その他の関係者及び消費者に対する当該施策について意見を述べる機会の付与その他当該施策にこれらの者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。   

附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(食料・農業・農村基本法の一部改正)

2 食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)の一部を次のように改正する。
第四十条第三項中「及び食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成十二年法律第百十六号)」を、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成十二年法律第百十六号)及び有機農業の推進に関する法律(平成十八年法律第百十二号)」に改める。

(農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部改正)
3 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律(平成十八年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
附則第九条中第四十条第三項の改正規定を次のように改める。
第四十条第三項中「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成十二年法律第百十六号)」の下に「、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律(平成十八年法律第八十八号)」を加える。

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